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ラバーとボールの物理的な性質を知らなければ、卓球は絶対に上達しない


ボールの回転と、ラバーで擦って作り出そうとする回転の方向が逆なんですな。

こんにちは。”卓球を学問する” またの名をゴリポンです。

今回は卓球というよりも、”ラバー”と”ボール”の物理的な側面について考えていきたいと思います。

用意するものは10円玉1枚と十分な広さのあるテーブル、そして対戦相手です。何をプレーするかって?

”10円玉倒したら負けゲーム”に決まってるじゃないですかぁ。

ちょっと長いですが、この考え方はきっと役に立ちますよ。

早速ですが両プレイヤーともに右利きを想定します。

まずはテーブルの端っこに両プレイヤーが陣取ります。そして先攻プレイヤー(相手に先攻してもらってね)は10円玉を左手の人差し指で支え、テーブルの上に直立させます。

そして右手の中指で10円玉の右ハシをピン!と弾きます。うまくヒットすれば10円玉はまっすぐに、そして猛烈に回転しながら相手サイドへ移動しますよね。そうそう、小学校の頃よく遊んだあれですよ。回転することで安定直立する、っていう性質ですな。

今度はレシーバーであるあなたの番です。10円玉が倒れないように、そしてテーブルから飛んでいかないように、細心の注意を払って、同じように10円玉の右ハシをピン!と弾きます。上手く行けば10円玉はまた先攻プレーヤーの方へ回転しながら移動していきます。

レシーバーは左手で10円玉を支えることができない分、先攻プレーヤーよりも不利な状況にあるわけです。んでこっからが超重要。

レシーバーであるあなたは、すでに猛烈なスピードで回転している10円玉を、どんなスピードで弾けば安定すると思いますか?そしてどの部分を弾けば上手く回転を伝えられるのでしょうか。最適解は、

できるだけ端の部分を、10円玉の回転よりも速いスピードで弾く

ですよね。これが直感的にわかっているからこそ、先攻プレーヤーが10円玉を弾いたあと、10円玉の回転量が衰えてくるのをしばらくじっと待っていたんじゃないでしょうか。

回転量が小さくなったのを見越して、改めて照準し打ち出す、と。レシーブ側の弾くスピードが10円玉の回転量に負けてしまうと、10円玉は突如失速しゲームオーバーです。

ところがこのレシーブで、弾くスピードは十分でも”当たる場所”を間違えてしまうとどうなるでしょう。たとえば10円玉の端っこではなく、割と中心部の、いわゆる回転のコアに直撃してしまった場合です。

クリーンヒットを食らった10円玉はまず間違いなく場外ホームランです。はい負けー。しかも爪が超痛い。

じゃあ今度は、10円玉の端っこも端っこ、端っこから0.001mmしか離れていないギリッギリの部分を思いっきり弾いたら、10円玉はどうなるでしょうか。

その場合猛烈な回転が付加されただけで、あなたの打点位置から10円玉はほとんど移動しない。

つまりこのゲームにおいては、すでに回っている10円玉の回転量を超えるスピードで回転量を与え、かつ10円玉の”軸”をいかに上手くコントロールして移動させるか、ということが勝利パターンとなるわけです。

・・・・卓球のレシーブと、もうほとんど同じじゃないですか?

 

もう少し突っ込んだ仮定をしてみましょう。先ほどと同じように先攻打者が10円玉を右手で弾きます。

あなたのレシーブですが、今度は”左手”で弾いてみましょう。もうおわかりですよね。

10円玉は吹っ飛んでいきます。割と簡単に。右手同士との戦いに比べて、コントロールが非常に難しい。

そうです。10円玉が安定していたのは、あくまでテーブルを上から見て「反時計回り」していたからであって、この回転方向を逆にしようとしたために回転の均衡が崩れたわけです。

ここまでの話は、すべてそのままそっくり卓球のレシーブに適用できます。つまりどんな結論を導きだせるかといいますと、

何でもかんでもチキータでは返せない。
チキータが得意とするのは、あくまでチキータで作り出そうとする回転と同じ方向の回転 = 相手の純横回転や純横下回転ってことです。

つまり、相手のYGサーブや左利きのプレイヤーの純横下回転をチキータで無理矢理返そうとしているプレイヤーをよく見かけますが、さっきの10円玉ゲームのレシーブを左手で打ったこととおんなじで、とてーーも難しい技術なわけです。早い話がオーバーミスを連発しやすくなります。同じチキータなのに。

ボールの回転と、ラバーで擦って作り出そうとする回転の方向が逆なんですな。

YGをチキータで返そうとすると、ボールの回転よりも強い回転を与えながら、出来る限り”当てずに擦る”ことでボールが吹っ飛んでいかないように意識する必要があります。超高度。

あの10円玉はどうなりましたっけ。吹っ飛んでいきましたよね。ちなみに回転の方向が同じならば、たとえば許昕のフォアハンドチキータなどのプレーも作り出せます。

レシーブが苦手な人は特に横方向系統の回転の性質を意識できるだけで、安心してプレーできるんじゃないでしょうか。

おつかれさまでした。

ニッ。

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